再開発が進み、雨後の筍のごとくタワーマンションが建ち並ぶ江東区の東京湾岸エリア。
まぁ〜金持っている人が集まるこのエリアに一生縁がないであろう筆者が、違和感なく立ち入れる場所が、江東区辰巳にある大規模団地「都営辰巳一丁目アパート」だ。
昭和42年(1967)から昭和44年(1969)にかけて建設された辰巳一丁目アパートだが、現在は再開発の波に押されもれなく建替えが進んでいる。
古い団地の向こうには、現代的なタワーマンションがそびえ立ち、新旧集合住宅のコントラストが哀愁を誘う。ただそんな風景も、再開発とともに次期に見られなくなってしまうのでしょう・・・・
なん〜て、ちょっぴりセンチメンタルな気分になりながらも、今回は辰巳一丁目アパートの今の姿を堪能してきたぞ☆
【辰巳一丁目アパート】団地の場所と歴史
辰巳一丁目アパートの最寄り駅は、東京メトロ有楽町線の辰巳駅。駅を降りるとすぐ眼の前に団地群が見えてくる。
なんと辰巳一丁目アパートは、駅チカという神がかり的に便利な立地に建つ団地なのだ。
そして辰巳一丁目アパートはとにかく広い!なんと江東区辰巳一丁目の敷地内ほとんどが団地となっているというバカでかさ!!
上にある筆者が雑に加工した地図上だと、赤枠が辰巳一丁目エリア、青枠が辰巳一丁目アパートのエリアとなっている。これはもぅ辰巳一丁目は団地に牛耳られているといっても過言ではない!こんな団地パラダイス興奮しちゃう♡
さてさて、そんな辰巳を牛耳る辰巳一丁目アパートですが、もともとこの辰巳地区は、東京湾埋立7号地として大正15年(1926)2月に、隅田川改良工事による埋立の許可が下り誕生した街。
その後昭和11年(1963)12月に辰巳橋が架けられ、お隣の東雲〜豊洲と接続された。勿論いまやタワマン激戦区である東雲(東京湾埋立6号地)や豊洲(東京湾埋立5号地)だって埋立地。(※上記地図だと、左側が東雲、その上が豊洲)
ちょっと余談だけど、幕府が開かれる前の江戸は皇居外苑あたりまで海が広がり、その入江には葦や萱などが生い茂る湿地帯だった。そんな土地に幕府を開き、江戸時代から埋めたり河川工事をしながら、いまでも続く大都市TOKYOを形成し続けるってすごくない!?家康の江戸大改造計画にはつくづく感動させられる。
スミマセン・・・・ちょっと話がそれましたが、辰巳一丁目アパートの話に戻しましょ。
橋が架けられ陸続きになった辰巳ですが、折角埋め立てられたにも関わらず、帰属未定地だったため暫くの間利用することなく放置されていた。
そんな中、戦後の住宅不足解消のため日本各地で団地建設ラッシュが続いていた昭和42年(1967)、この土地にも団地が誕生した。
そう、その団地こそが辰巳一丁目アパートだ。
いやぁ〜もう本当、この時期は使える土地には団地を建てまくっていたからね。団地を建設するには広い土地が必要なため、この時期の団地は元軍用地や埋立地などに建てられたものが多い。近隣の埋立地だと、東雲一丁目アパート(昭和47年竣工)や豊洲一丁目アパート(昭和47年竣工)などの都営住宅が時期を同じくして建設されている。そりゃこんだけ土地があれば建てるよね、団地。
冒頭でも書いたように、昭和42年(1967)〜昭和44年(1969)にかけて建設された辰巳一丁目アパート。その間、昭和43年(1968)4月1日にやっとこさ住居表示が実施され、辰巳の埋立地は江東区に帰属されることが決定した。
辰巳一丁目アパートの最終的な完成時の総戸数は3,326戸、87棟、敷地面積14ヘクタール大規模団地っぷりを誇っていたのだ。
こうして辰巳の埋立地は一代団地タウンへと発展していった。
ちなみに「辰巳」という地名は、元々江戸時代に皇居の”巽”(辰巳)の方角(南東)にあった深川(現在の門前仲町あたり)の呼称だったことが由来。深川からは結構離れている気もするけど、より巽の方角にあったので、この地区の地名になったのだろう。
そして現在では有楽町線が通り超絶便利な辰巳一丁目アパートですが、有楽町線が開業したのは昭和49年(1974)10月30日。しかも当時は池袋〜銀座一丁目までの開業だったため、辰巳駅は存在していなかったのだ。
その後有楽町線は何度か延伸をし辰巳駅が開業したのは、昭和の終わりが近づく昭和63年(1988)6月8日。辰巳一丁目アパートができてから、なんと20年近く経ってからだった。
もちろん当時から都営バスは通っていたとはいえ、辰巳地区は陸の孤島漂う場所だったのだ。まぁ団地って今でも鉄道駅からは離れた場所にあったりするけど、長らく最寄り駅が6キロ近く離れた銀座一丁目駅だったと考えると、かなり大変だったのではなかろうか・・・・
辰巳一丁目アパートを歩く。
ではでは、辰巳一丁目アパートの歴史が少しわかったところで、団地内を散策していきましょい!
先ほど紹介したように、最寄り駅は東京メトロ有楽町線の辰巳駅。
1番出口を出ると目の前には高層団地がそびえ立ち、その威風堂々っぷりには圧巻してしまう。まさに団地の顔!
給水タンクが置かれた出っ張り部分が、なんともアーティスティック♡
ちなみに、後ろを振り向くと東雲や豊洲のタワマンが見渡せる。
辰巳がまだ両埋立地ほどタワマン化が進んでいないのは、辰巳一丁目アパートのおかげか?まぁ、それも建替えでどうなることやら・・・
【辰巳一丁目アパート】高速道路とポイントハウス
高層団地を越えると、規則正しく板状団地が建ち並び、奥には昭和55年(1980)に開通した首都高速9号深川線の高架が見えてくる。
首都高速が走るすぐ脇には贅沢にもポイントハウスが点在。
現在辰巳一丁目アパートにあるポイントハウスは、54、55、72号棟の3棟。
広い敷地が必要なポイントハウスがあると、団地全体にゆとりを感じることができる。
首都高が通る前は、もっと広々とした感じだったんだろうなぁ・・・・とはいえ、ポイントハウスと首都高のコントラストもなかなかイカす!
階段や部屋幅もゆとりがあり優雅な造り♡
【辰巳一丁目アパート】圧巻の給水塔(給水塔3号)
そして辰巳一丁目アパートの見どころはポイントハウスだけではない。
なんとまだまだ団地のランドマーク・給水塔も現存しているのだっ!!都内の団地で年々数を減らしている給水塔が拝めるなんて、有難き幸せ♡
おおおお〜〜〜〜〜っ♡
すくっと伸びた給水塔は、観ているだけで胸がときめく♡
あまりのときめきっぷりにカメラのシャッターが止まらない。完全に不審者と化す筆者・・・・
ちなみにこれらの給水塔は「給水塔3号」と呼ばれ、周りの団地もまだまだ人の気配を感じるため、現役感が漂っている。
【辰巳一丁目アパート】圧巻の給水塔(給水塔1号)
そして給水塔はもう1基、給水塔1号が存在している。
かつては給水塔2号が存在していたものの、再開発の建替えにより消滅してしまった。やはり時代の流れには逆らえないのか・・・・
給水塔1号は区道の先にあるため、歩道橋を渡り向かう。団地内を区道が通り歩道橋まであるとは、改めて辰巳一丁目アパートの広大さを思い知る。
ちなみに、歩道橋から東雲方面を見ると、団地とともにそびえ立つタワマンが見える。新旧集合住宅の夢の共演に、なんだかグッときちゃう。
給水塔1号の周辺は建替えが進んでおり、ところどころ立ち退きが済んだ団地にはフェンスが立てられ、若干の物悲しさを感じる。
給水塔1号が取り壊されるのも間近なのだろうか・・・・
ランドマークとしての美しさを感じる給水塔。建設当時は周りに高い建物もなく、いまよりももっと、もっと給水塔が目立っていたのだろうなぁ。
【辰巳一丁目アパート】建替えが進む団地
給水塔1号がある辺りはすいぶんと建替え工事が進んでいる。
先ほども書いたように、立ち退きが済んだ団地にはフェンスがはられ、取り壊される順番待ちをいているようで少し寂しい・・・・
時代の流れといっちゃあそれまでだけど、今まで頑張ってきた団地にありがとうとお疲れ様といいたい。
辰巳一丁目アパートの建替え計画は、いまのところ第1期〜第4期まで計画されている。(1期はすでに完了)最終的には現在の団地は全て取り壊され、新しい住宅や複合市街地ができるようだ。
昭和の姿を見れるのも、あと数年といったところになりそう・・・・
【辰巳一丁目アパート】団地を支えて商店街
さてさて、建替えの話で少ししんみりしてしまいましたが、散策を続けましょ。
広大な面積を誇る辰巳一丁目アパートには、もちろん住民たちの生活を支える商店街だって完備している。
なんだかシャッター街と化しているようで、ちょっぴり寂しい雰囲気が漂う・・・・
ただこれは筆者が早朝に訪れたからかもしれない。
わりと現役っぽいジムもあるし、まだ少しは活気がある模様。
わあぁかわいい&美味しそうなパン屋さん♡
すでに閉業している雰囲気はあるものの、『モンブラン』の文字が昭和で素敵すぎる♡
営業時には幸せな匂いを漂わせ、多くの人で賑わっていたのが想像できる。
商店街の広場には、申し訳なさ程度にこどもの遊具が置かれていた。雰囲気が昭和過ぎて涙がでそう。
団地全盛期のときには、沢山の子供の声が響いていたのだろうなぁ。
【辰巳一丁目アパート】その他の団地の風景
ここからは、とにかひたすら映した団地の写真を貼ってゆこうと思う。
まずは辰巳一丁目のアパートの案内図。見ていただく通り、かなり広い!!散策していても、自分がどこにいるかわからなくなってしまうほど・・・(方向音痴)
板状団地の群れと、遠くに見える給水塔が哀愁を誘う。
錆びついたダストシュート。
現在ではダストシュートは使われなくなっているため、多くの団地で壊されていることも多い中、錆びつきながらも残る姿にグッときちゃう。
迫力の板状団地。昭和からの歴史を感じる。
団地敷地内から首都高速を見渡す。
敷地が広いだけあり、団地内には緑も多い。まぁ、草が茂っているだけともいうが・・・・
団地の色合いに映える青空。
ノスタルジックな団地と給水塔。
東雲と繋がる桜辰巳橋から眺める、辰巳一丁目アパートと給水塔。
建替えが進む今、今後このノスタルジックな風景は見えなくなってしまうのだろう。時代の流れには逆らえないとはいえ、昭和の団地を愛するものとしては少々寂しい。
ちなみに団地の風景ではないのですが、辰巳駅をはさみ辰巳一丁目アパートの反対側には、広くて清々しい「辰巳の森緑道公園」がある。
ちびっこが歓喜しそうなタコの遊具などもあり、とってもいい雰囲気。団地に住んでいたら、すぐに遊びに来れて楽しそう!
公園には、狂気を感じるほどのパンダまみれのエリアも存在する。
いやぁ〜、パンダはみんなのアイドルですけど、ここまで集合するのはエキセントリック!!大好き、こういうの。
【街の歴史とともにある団地】辰巳一丁目アパートを歩こう!
はい、今回は辰巳という街の歴史とともに存在してきた、辰巳一丁目アパートを散策してきた様子をお伝えしました。
だいぶ再開発による建替えが進んでおり、現在の昭和の空気を纏った団地の風景が観られるのも時間の問題。少し寂しい気もするけど、きっとまた新しい歴史を紡いでいってくれることだろう。
ぜひ皆さんも今の辰巳一丁目アパートの雰囲気を味わいければ、お早めに足をお運びくださいませませ♬
☆★☆団地は住宅です!散策する際は、近隣住民に迷惑にならないよう、静かに・楽しく散策しましょう!!!★☆★
⬇その他の団地の記事です。よかったらどーぞ!⬇
【辰巳一丁目アパート】場所
〒135-0053 東京都江東区辰巳1丁目
東京メトロ有楽町線 1番出口から徒歩1分
コメント