亀有と言うと、多くの人が「こちら葛飾区亀有公園前派出所」を思い浮かべると思うの。両さんのおかげで、亀有に行ったことがない人にとっても、その地名はかなり馴染み深いものになっているわよネ。
連載が終了した今でも「こち亀」の聖地として賑わいを見せる亀有ですが、実は戦後すぐに「亀有楽天地」という赤線地帯ができ、売春防止法施工までは多くの大人の男性で賑わっていたのだそう。
今回はそんな「こち亀」の聖地にかつて存在した、赤線地帯「亀有楽天地」の跡を歩いてきた様子をお伝えするわ。
【亀有楽天地】場所と歴史【色街・赤線】
亀有楽天地跡を歩いていく前に、まずは場所とその歴史をみていきましょ。
亀有楽天地があったのは、現在の亀有3丁目付近。JR亀有駅の南口を出て放射線状になった道を西側に歩いていった場所に存在していわ。
ちなみにこち亀でお馴染み亀有公園は、反対の北口側にあるわよ。
元々亀有には戦前〜戦中までは日立製作所などの工場があり、近隣にはそんな産業戦士たちのための色街が存在していたのだそう。
ただ今回歩いてゆく亀有楽天地の歴史としては、東京大空襲で被災した玉の井の業者12軒が、亀有にあった日立製作所の寮を買い取り、終戦間際の昭和20年(1945)8月8日に営業許可が降りるとすぐに慰安施設をスタートさせたのが始まりと言われているわ。
戦前に工場地帯として賑わっていたからこそ、被災しなかった寮を買い取りやすく商売を始めるには丁度良かったようね。(日立製作所は戦後、このあたりの工場をすべて撤退させている)
戦後はRAA(特殊慰安施設協会)により日本各地に建てられていた、米兵向けの慰安施設のひとつとして機能していたのだけど、昭和21年(1946)3月26日のオフ・リミッツ令以降は赤線へと移行。売春防止法が施行された、昭和33年(1958)4月1日まで続いていたわ。
最盛期には43軒の店に180人ほどの女性たちが働いており、かなりの賑わいを見せていた亀有楽天地。
”上野をちょっと出りゃ 柳が招くよ あれは亀有楽天地〜”
なる「亀有楽天地小唄」も存在したのだとか。いまやこち亀の聖地として賑わう亀有だけど、当時は色街として栄えていた様子が伺えるわネ。
【亀有楽天地】かつて存在した施設跡を尋ねる。【赤線・色街】
それでは歴史が少しわかったところで、かつての赤線跡・亀有楽天地跡へと向かいましょ。
まず足を運ぶのは、かつて日立製作所の寮があったと言われている場所。とりあえず南口を出て、亀有新道を進みます。
亀有の街も再開発が進みマンションが立ち並ぶ中、古い建物がぼちぼち存在し中々趣深い光景。当時この辺りは水田が多く、亀有楽天地の裏も田んぼだったため蛙の声がよく聞こえてきたそうよ。
そんな事を考えながらしばらく進むと、一軒のコンビニが現れるわ。どうやら日立製作所の寮は、この付近に存在していたみたい。
玉の井の業者は始め1棟の寮を買い取ったそうなんだけど、その後は6〜7棟の寮を買収していったんですって。アパート式の建物に何軒もの店が入っていたため、中で偶然知り合いと会ってしまう、な〜んてハプニングもあったのだとか。これは気まずい・・・
【亀有楽天地】赤線跡の趣深い建物たち。
かつての赤線跡もすっかりスクラップアンドビルドが進み、古い建物の多くはマンションへと生まれ変わっている。そんな中でも飲み屋さんや商店などに生まれ変わった、当時の面影を感じる建物を見ることができるわ。
こちらは先ほどの通りにあった飲み屋さん。(フィリピンパブ??)何とも趣深い建物。
こちらは先程のコンビニ前にあった建物。どこかカフェー建築の意匠を感じさせる佇まいじゃない?
こちらの飲み屋さんが集まった一角は、かなり昭和の面影が漂っているわ。
こちらにも何軒かフィリピンパブっぽいお店があるけど、亀有はフィリピンパブのメッカなのか??
古い和風建築に洋風の入口がガッチャンコされた建物は、なんだか当時の面影を感じさせるわね。
1階の洋風と2階の和風具合にグッときちゃう。
こちらはかなり味のある個性的な建物。こちらも飲み屋さんかしら?
こちらもかなり個性的な建物!現在は廃墟(?)のようで、以前は薬局として使われていた模様。
和風+洋風の造りで、薬局の前は何らかのご商売をしていたのでは?と想像させられるわね・・・
赤線跡からは少し離れているけど、どことなくバルコニーの雰囲気がカフェー建築っぽい建物。当時の遺構かはわからないけど、グッとくるポイントは押さえているわネ。
こちらも赤線跡からは少し離れているケド、ちょっとソレっぽい建物。でもまで建物自体新しそう?
【亀有食品市場】昭和の風が吹きすさぶイカした商店街。
はい、そして亀有楽天地とは関係ないんだけど、ここでひとつ亀有の昭和レトロスポットにも足を運んでおきましょ!
やってきたのはこち亀にも出てくる「ゆーろーど」にある「亀有食品市場」よ。も〜見るからに昭和でワクワクしちゃう。
「亀有食品市場」は60年ほどの歴史があるアーケード式の商店街。昭和の雰囲気ビンビンじゃない!?
最盛期には30店舗程が軒を連ねていたそうなんだけど、現在は「やおさだ」さん(八百屋)と「バンビ」さん(お惣菜)の2店舗のみ。
「やおさだ」さんの商品がかつて別のお店だった場所にもたくさん陳列されていて、かなりの盛況っぷりが伺えるわ。
昭和30年代ぐらいで時が止まったかのような佇まいが素敵すぎ♡
アーケードの中央には、かつての水飲み場も健在!昭和!!
まるでタイムスリップしたような昭和っぷりで、歩いているだけでドキドキしちゃう。
2階のトマソン的ドアも味があるわネ。
「ゆーろーど」沿いも新しい建物が増えているけど、できることなら「亀有食品市場」は末永くこの姿を残してほしいものね。
【亀有楽天地】「こち亀」の聖地・亀有にあった赤線地帯を歩く。【色街・赤線】
はい、今回はかつて亀有に存在した、亀有楽天地の赤線跡を散策してきた様子をお伝えしたわ。
こち亀の聖地として賑わう亀有だけど、歴史を知って街を歩くとより興味深く散策できるわね。戦後に発展してきた亀有楽天地だからこそ、そんな混乱期にここで強く美しく働いてきた女性たちには敬意をはらいます。
再開発が急速に進み赤線跡だけではなく、街から昭和の面影が少なくなってきた昨今。こんな時だから街の歴史を学び、昭和を探しに街歩きをしていかねばと思う散策となったわ。
現在の亀有楽天地は住宅街で多くの人々が暮らす場所です。住民の方の迷惑にならないように、ひっそり、静かに見学してしましょう!
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