みなさん、「ハヤシライス」は好きですか?
ライス界には「カレーライス」や「オムライス」といったスターが存在するため、少々地味な存在として認識されているようだけど、筆者は大好きです。
牛肉と玉ねぎのうま味がドミグラスソースに染み渡り、複雑でいて繊細な味わいを醸し出すハヤシライスは最高のごちそうよね。
そんな「ハヤシライス」に記念日が制定されてるって知ってた?
なんと9月8日が「ハヤシの日」なんですって!
なんで9月8日?って感じよね、どっちかっていったら8月4日とかのほうが語呂合わせでよさそうなのに・・・なんて考えちゃったわよ。
今回はそんな「ハヤシライス」の歴史にせまり、元祖ハヤシライスを食べに行ってきたわ。
あっ、ちなみに今回昭和レトロじゃなく、明治クラシカルな内容になってしまっているのでご了承ください。
そもそも何故9月8日が「ハヤシの日」なの?
まずなんで9月8日が「ハヤシの日」なのかしら?ってところよね。
9月8日を「ハヤシの日」と制定したのはなんと本屋さんでお馴染み丸善なの。(現在は丸善ジュンク堂書店)
なんで本屋さんが「ハヤシの日」なんて制定したのかって?それはハヤシライスの語源に関係しているのからなのよ。
ハヤシライスの成り立ちには諸説あるんだけど、丸善の創業者・早矢仕有的が考案したという説があるわ。
時は明治初期、早矢仕は当時日本を訪れる外国人と親交があり、そんな友人たちにありあわせのお肉と野菜を煮込んだごった煮を作り、それをライスにかけて振る舞ったそうよ。
そんな料理が評判となって、この料理はいつしか「早矢仕さんのライス」と呼ばれるようになり、これが現在の「ハヤシライス」の語源になっているんだとか。
その他にも早矢仕は横浜で勤務医をしており、その頃患者さんの栄養食として振る舞ったのが「ハヤシライス」の始まりだとか、丸善の丁稚のお夜食として振る舞ったのが始まりだとか色々な説があるみたいね。
いずれにしても早矢仕有的がハヤシライス的なものを振る舞っていたのは明治初期とされているわ。
でもハヤシライスの肝である「デミグラスソース」が日本に入ってきたのは明治30年代以降と言われており、早矢仕が振る舞っていたハヤシライスは「デミグラスソース」ではなくお味噌やお醤油なんかで味付けされていたのでは?と推測されているみたい。
そんな早矢仕有的の誕生日が9月8日だったことから「ハヤシの日」が制定されたんですって。
その他にもある!ハヤシライスの発祥説
ハヤシライスの発祥説は早矢仕有的説以外にも主だった説としてはこの他に3つあるようよ。
続いてはその他の説にもせまってみたわ。
①「ハッシュドビーフ」からきている説
薄切りの牛肉を煮込んだ「ハッシュドビーフ」、イギリスやアメリカなどでは昔から食べれれており、この料理が日本に入ってきてご飯とドッキングさせたものが「ハヤシライス」になったという説。
正直筆者は長年この説だと思っていたわ。
だって洋食って西洋からきた料理を日本風にアレンジしたものじゃない?オムレツからオムライス作っちゃったり、ポークカツレツから豚カツ作っちゃったりする日本人のアイデア力からくる代物だと思っていたわけよ。
②銀座の老舗「煉瓦亭」が発祥説
いまでも銀座にある老舗洋食店「煉瓦亭」。このお店が発祥なんでは?っていう説もあるわね。
Wikipediaにはこんな記載があるわ。
銀座の老舗洋食店煉瓦亭3代目の木田明利は「日本橋丸善が元祖ではあるが、あれはチャプスイに近い」とし、ドミグラスソースのハヤシライスは自店が元祖であると語っている
Wikipedia「ハヤシライス」より引用
煉瓦亭は明治28年(1895)に創業の老舗中の老舗の洋食屋さん。
煉瓦亭は「日本の洋食はここから始まった」なんて言われるぐらい、多くの洋食の発祥の地とされていて、オムライスや豚カツ、エビフライにカキフライとたくさんの洋食を生み出している名店よ。
③上野の老舗「上野精養軒」説
上野の老舗「上野精養軒」、ここにも「ハヤシライス」の発祥説があるわ。
宮内省大膳寮初代厨司長の秋山徳蔵が考案し、この料理が上野精養軒のコックである「林」という人物に伝わり、「ハヤシライス」の名前で知れ渡ったみたい。
ただ秋山徳蔵が宮内省に入省した年が大正2年(1913)だったんだけど、それより前から「ハヤシライスの種」なんて商品が発売されていた事もあり、この説はあんまり信憑性がないみたい。
上野精養軒の歴史は古く、元々は築地にあった「築地精養軒」の支店として明治9年に誕生するわ。(築地精養軒は大正12年の関東大震災で消失)そんな「精養軒」は多くの文豪に愛されたお店として知られ、あの夏目漱石や森鴎外の作品にも登場するわよ。
筆者は鴎外の長女である作家の森茉莉さんに一時ドハマリしていた時期があり、そんな茉莉さんがパッパに連れられてやってきた精養軒には憧れたものよ。
早矢仕有的考案「早矢仕ライス」を食べに行こう!
「煉瓦亭」も「上野精養軒」も捨てがたいけど、今回は9月8日の「ハヤシの日」の起源である丸善の「早矢仕ライス」を食べに行ってきたわ。
東京の玄関口である「東京駅」、今回はクラシカルな駅舎でお馴染み丸の内口からすぐにある丸善丸の内本店にある「M&C Caffe丸の内店」に行ってきたわよ。
「丸善丸の内本店」の他に近隣には「丸善日本橋店」もあるから、そこでも「早矢仕ライス」を食べる事ができるわよ。
丸の内本店の4階にある「M&C Caffe丸の内店」
名物の「早矢仕ライス」の他にスイーツも美味しそう!
丸善丸の内本店の何が素晴らしいかって、このロケーション!!
カフェから電車が見れちゃうの!鉄オタじゃなくってもこのロケーションにはテンション上がっちゃうわよね。
そしてそんな素晴らしいロケーションの中、今回筆者が注文したのは、丸善特製早矢仕セット(ドリンク・サラダ・デザート付き)¥2300
早矢仕ライスはポークとビーフ2つの味が楽しめるようになっているわ。
甘口のデミグラスソースは上品なお味に仕上がっていてとっても美味しい!お肉の味が染み込んでいてとっても濃厚なんだけど、口当たりがよく食べやすいわ。
こんなに美味しい「早矢仕ライス」を世に出してくれた早矢仕有的には感謝してもしたりないぐらいだわ。
ありがとう!早矢仕有的!
「早矢仕ライス」とは関係なくなっちゃうけど、オススメの檸檬ケーキも紹介させてちょうだい。セットのケーキは選べるんだけど、この檸檬ケーキを激推したいわ。(ケーキセットとして注文することも可)
だってこれ、梶井基次郎の「檸檬」にちなんで開発された檸檬ケーキなんですもの!
梶井基次郎の「檸檬」っていったら京都の三条通麩屋町にあった丸善が舞台になっている事でお馴染みの小説。
主人公の「私」が爆弾に見立てた「檸檬」を丸善に並ぶ画集の上に置くラストは真似したくなるエンディング。「えたいのしれない不吉な塊」に心を押さえつけられているナウなヤングは感化されちゃう小説なのよね。
とまぁ、「早矢仕ライス」以外の話に脱線してしまったけど、こうやって歴史を振り返っていくといろんな事につながっていくわよね。
「早矢仕ライス」を食べながら歴史や文学に思いをめぐらせてみるのもいいものよ。
丸善丸の内本店「M&C Caffe丸の内店」場所・詳細
東京都千代田区丸の内1丁目6−4 丸の内オアゾ4F
JR東京駅丸の内北口より徒歩約1分
営業時間:9:00〜20:00(ラストオーダー19:30)
(営業時間・営業日などは状況により変更あり)
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