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【世田谷代田/下北沢】森茉莉さんの面影を探して・・・「世田谷邪宗門」で過ごす安らぎの時間。

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【世田谷代田/下北沢】森茉莉さんの面影を探して・・・「世田谷邪宗門」で過ごす安らぎの時間。 世田谷区
【世田谷代田/下北沢】森茉莉さんの面影を探して・・・「世田谷邪宗門」で過ごす安らぎの時間。
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昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
生前の森茉莉さん(「私の中のアリスの世界」帯より。)

森茉莉さんがすきだ。

学生時代に、茉莉さんの耽美な物語に耽り、エッセイなどで見せる感性豊かでぶっ飛んだ人柄に魅了された。

筆者のような森茉莉ファンにとって、今なお聖地として崇められる場所が、世田谷区代田にある「世田谷邪宗門」。晩年近所に住んでいた彼女が、仕事場代わりに足繁く通っていた喫茶店だ。

かく言う筆者も10代のころに、一度足を運んでいる。(年がバレるので何年前かは伏せておくわ・・・)

当時まだうら若き乙女(?)だった筆者は、茉莉さんにも喫茶店にも興味のない友人を引き連れ、意を決して「世田谷邪宗門」の門をくぐった。のはいいが、茉莉さんの聖地ということと、大人な雰囲気の喫茶店にド緊張してしまい、当時の状況をあまり良く覚えていない。

それからハタチも過ぎ、喫茶店でもどこへでもひとりで行けるようになり、再訪したいと思っているうちに、すでに何年もの月日が過ぎ去っていた・・・

時が経つのは早い、年を取るのも本当に早い、ここらで再び訪れなければ絶対に後悔する気がした。

そんなこんなで、今回は10代の自分にリベンジ(?)するため、心はまだまだうら若き乙女のババア(たちが悪い・・・)となった筆者は、再び茉莉さんの面影を探しに、「世田谷邪宗門」へ向かうことにした。

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昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」

小田急線の下北沢駅から歩くこと15分。若いエネルギーでごった返す駅周辺から離れ、閑静な住宅街にひっそりと佇む喫茶店が、今回の目的地「世田谷邪宗門」だ。

茉莉さんは毎朝9時過ぎに「邪宗門」へやってきていた。そのため筆者もその時間に併せ、今回お店を訪れることにした。

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」

「邪宗門」という名の喫茶店は、現在世田谷の他、荻窪・下田・高岡・石内と5店舗存在する。

元々は昭和28年(1958)に吉祥寺にオープンした「邪宗門」(昭和30年に国立へ移転)が暖簾分けする形で、各地に散らばっていった。(国立の邪宗門は2008年に閉店)

ちなみに店名の由来は、北原白秋の処女詩集のタイトル「邪宗門」から。そういえば、茉莉さんのパッパである鴎外の同人誌に北原白秋も参加していたような・・・

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」

茉莉さんが通っていたのは、昭和42年(1967)から昭和58年(1983)の16年間。「世田谷邪宗門」が開店したのは、昭和40年(1965)なので、割りと初期からの常連さんだったみたい。

美しいものが好きな茉莉さん、確かに「邪宗門」の美しさは好みだったのかもしれない。

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
世田谷邪宗門の店内

彼女の面影を感じつつ、ドキドキしながらウン十年ぶりに「邪宗門」の門をくぐる。気分は10代のままだ・・・

扉を開けると、門主と息子さんが温かく迎え入れてくれた。インターネット情報により、門主が体調を崩しており、お店に居ないこともあると聞いていたため、お元気そうな顔が見れてほっと胸をなでおろす。

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
世田谷邪宗門の店内

門主が高齢なため、最近は休業することも多いそう。

筆者が伺った日も、本来は休業するつもりだったのだけど、急遽常連さんが来るため午前中だけお店を開けていたんだとか。

そんな時に訪れただなんて、運が良かった!筆者の思いが伝わったのか!?なんてことを思ったり。

息子さんは他にも仕事をしているため、毎日はお店を開けることはできないのだそう。TwitterもといX(@jashumon_coffee)で休業日を発信しているそうなので、伺う前はチェックするのがよさそう・・・

ほぼ人に見られることもない筆者のTwitterアカウント(@aato1234)からも、早速「世田谷邪宗門」をフォローしておいた。

営業日もチェックせずに訪れた筆者に、門主も息子さんも快く迎え入れてくれたことに感謝しかない。流石、あの茉莉さんを受け入れ続けただけあり心が広い!

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
森茉莉さんが毎回座っていた席。

そして茉莉さんのファンで、ウン十年ぶりに伺ったことを伝え、彼女がいつも座っていた席に座らせてもらう。

レンガのパーテーションで入口から死角となった、窓際の一角が彼女の定位置だった。実は前回訪れた時、この席には座れなかったため、今回やっと長年の夢が叶うこととなった。

ここで彼女が言葉を紡いでいたののかと思うと、とても感慨深い。

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
定席に飾られた茉莉さんのサイン

茉莉さんが座っていた席には、座右の銘である『夢見ることが 私の人生』と書かれた直筆のサインが飾ってある。

いつでも夢をみたいと思いつつも、大人になり、現実ばかり考えてしまうことに辟易していた筆者には痛いぐらいに刺さる、骨の髄まで刺さってしまう。

今の筆者は、『アナタ、つまらない人ね。』と、彼女に一蹴されてしまうかも知れない・・・

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」

薄ぼんやりとそんなことを考えつつ、席の横を眺めると、しっかり茉莉さんの著書も置いてあった。

夢を見続けるためにも、帰ったら久しぶりに著書を読み込まなければ・・・

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
世田谷邪宗門の店内

最近は「境界の彼方」というアニメの舞台になったことから、アニメファンのお客さんも多いのだとか。

今までとは違う客層の人が沢山来ることを不思議に思った息子さんは、どこでお店を知ったのかお客さんに直接聞いてみたのだそう。そこでアニメになっていることを知り、初めてアニメの存在を知ったのだとか。

『制作の人はちゃんと趣旨を話してたんだろうけど、親父が通常の取材だと思って受けたら、どうやらアニメ制作の人だったみたい。』と、笑いながらアニメの資料なんかも見せてくれた。

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
茉莉さんの席から店内を見回す。

「世田谷邪宗門」でGoogle検索してみたところ、サジェストにしっかり「境界の彼方」の表示があった。

いまや茉莉さんよりも、アニメのイメージが強いのだろうか?

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
世田谷邪宗門の店内

最近の言葉でいうと、映えるとかエモいとか言うのか?(それも古い?)ともかく、昭和の空気を纏った”映える”店内は、SNSにアップするため、ナウなヤングもこぞって訪れていると思われる。

昔から来るであろう森茉莉ファンや喫茶店ファン以外に、SNS民やアニメファンまでもを虜にしてしまう「世田谷邪宗門」。

時代によって客層は変化しても、茉莉さんがここに居た昭和の頃から、時間の流れは変わっていないのだろうなぁ・・・

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」

なんてことを考えながら、アンテークで揃えられた店内を見渡す。

とにかく居心地がよく、茉莉さんが何年も通い、何時間も居座った気持ちが痛いほどよくわかる。

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」

そして店内の奥には、古いレコードプレーヤーやジュークボックスも置かれ、さながら昭和の博物館のよう。

ジュークボックに入った、美空ひばりのレコードコレクションは門主の奥様の趣味なのだとか。

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
店内に飾られたアンテークなレジスター

他には古いレジスターまである。

初代引田天功の写真やミスターマリック氏の写真が飾られる

ちなみに、門主は初代引田天功に憧れ、マジックを始めたマジシャンでもある。

元々国立邪宗門の門主がお店でマジックを披露しており、その縁で「世田谷邪宗門」をオープンしたのだそう。そもそも、各地の門主たちはマジックで繋がっており、皆さんマジシャンでもあるのだとか。

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
世田谷邪宗門のメニュー。茉莉さんの名前のついた「森茉莉ティー」がメニューにある。

茉莉さんがお店にやってくる時、必ず彼女は食パンを持参していた。お店で注文するのではなく、自分で持ってくるのだ。

そしてひとこと「私のバターちょうだい。」と門主に声をかける。なんと、冷蔵庫の中には、彼女が買ってきた小岩井のバターが常備されていたのだ。

貧乏サヴァランの彼女にとって、そんなシンプルな食事も、ごちそうとして楽しんだであろうことは想像に難くない。

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
TWININGSの紅茶缶が、店内にも置かれていた。

そして決まって、バターを塗った食パンのお供にお紅茶を飲む。

唯一お店で注文していたお紅茶。そんな彼女の名前を冠した、「森茉莉ティー」なるメニューがお店には存在している。

元々お店では日東紅茶を出していたが、茉莉さん自ら入れ方や銘柄など、門主に色々とアドバイスを出したのだそう。

それからは彼女の好きなリプトンやTWININGSの”プリンスオブウェールズ”を、お店に置くようになった。

筆者が門主だったら、食パンは持参するわ色々言ってくるわで、正直面倒くさいと思ってしまう・・・

しかも彼女、それだけでなく、1日中お店に居座るくせに、途中退席して別のお店に食事に行ったり、コロッケや餃子等のお惣菜までお店に持ち込んでいたそう・・・

どこまでも自由なんだ・・・そしてそんな茉莉さんに付き合った門主は、なんて心が広いのだろう・・・

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」

そしてやはりファンとしては頼んでしまう、森茉莉ティー(¥650)

彼女のように食パンを持ち込む勇気がない筆者は、一緒にハニートースト(¥530)も注文。

あんみつの蜜を濃厚コーヒーにアレンジした、名物のあんみつコーヒー(¥800)もいただきたかったのだけど、ここはひとつ茉莉さんに倣い、食パンを食すことにする。まぁ、彼女が食べていたのはトーストせず、バターを塗っただけの食パンなんだけど。

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」

茉莉さんこだわりのお紅茶をいただいていると、彼女の面影を感じ、おこがましくも近くに彼女がいるような気がしてくる。

彼女のように自由に美しく、気高く生きたいと思いつつも難しい現状を、一寸だけ相談したい気持ちになってみたり。(ちゃんとアドバイスくれるかは不問。)

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」

とまぁ、なんだかんだ悩みは尽きなくとも、美味しいものをいただくときは、暫しそちらに集中するとしよう。

食いしん坊だった茉莉さんも、きっと美味しい物を目の前にしたら、そちらに夢中になっているはずだと信じて。

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
「下北沢文士町文化地図」。お店でもらうことができる。

少し余談だが、世田谷の下北沢近隣には昔から多くの文人達が住んでいた。

茉莉さんがキッカケとなり「世田谷邪宗門」を中心にして、「下北沢文士町文化地図」なるマップを発行している。お店でいただけるので、この地図を元に文人たちの面影をたどるのも楽しそう。

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
茉莉さんのアパルトマンがあった跡地。

筆者も帰り際、茉莉さんになったつもりで、彼女の通ったであろう道を通り、彼女の住んだアパルトマン「代沢ハウス」の跡地に向かった。

当時すでにボロアパートだった「代沢ハウス」は、昭和58年(1983)彼女が80歳の時に取り壊された。

その後彼女は経堂に移り、4年後にアパルトマンで亡くなっているのが発見された。

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」
禅林寺にある鴎外の墓。左端のお墓に茉莉さんが眠る。

現在彼女は、三鷹にある禅林寺で、大好きだったパッパ・鴎外の隣で眠っている。

目の前には太宰の墓もあるので、太宰にも茉莉さんにも影響を受けまくった筆者としては、是非多くの人に手をあわせてほしいと願う。

〒155-0033 東京都世田谷区代田1丁目31−1

小田急線下北沢駅 徒歩15分

小田急線世田谷代田駅 徒歩15分

営業時間:9時00分~18時00分(水・木定休日)

※営業日や営業時間が変更となる可能性があります!訪問する前にお店に確認するか、Twitterの情報を確認!@jashumon_coffee

店内禁煙

昭和レトロ研究所 森茉莉 レトロ喫茶「世田谷邪宗門」

お店に飾ったあった、70年前のコーラ!レア中のレア!!

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