
筆者が昭和マニアになった要因はいくつかあれど、そのひとつに「ちびまる子ちゃん」の存在がある。そしてそのウエイトはかなりの割合を占めている。
筆者が生まれる前に既に引退していた山口百恵さんのことを“百恵ちゃん”と親しみを込めて呼ぶのも、西城秀樹さんを“ヒデキ”と呼び、ご子息が芸能界デビューしたというニュースを見れば、親戚のおばちゃんのごとく目を細めてしまうのも、すべて「ちびまる子ちゃん」の影響だ。
ノストラダムスとかツチノコとかヨーヨーチャンピオンなどの、昭和カルチャーを覚えたのも「ちびまる子ちゃん」からだった。
そんな多くの昭和を享受してくれた「ちびまる子ちゃん」、その舞台であり作者であるさくらももこ先生の故郷である、静岡県の清水にこの度やってきた筆者。さくらももこ先生フリークである筆者にとつては、聖地といって過言ではない。
清水に来たのはもちろん、さくら先生の足跡をたどるため。まずはひろしの行きつけの店で、一家でも訪れていたお店「かね田食堂」でランチをしてきた様子をお伝えしようと思う。
この「かね田食堂」は、エッセイ「まる子だった」に出てきていたり、雑誌「富士山」でも訪れている名店のため、絶対に立ち寄りたかったお店なのだ。
【清水】“ちびまる子ちゃん一家”行きつけの店!「かね田食堂」の外観

清水駅を出て歩くこと10分。巴川の川向うに建つオレンジ?の建物が、今回の目的地「かね田食堂」だ。
エッセイ「まる子だった」の一文には、このように記されている。
その店は川沿いに建っているので窓を開けると川の匂いのする夜風が流れ込んでくる。
引用:さくらももこ「まる子だった」より
さくら先生の言う通り、川沿いも川沿い、匂いや風を存分に感じる場所に建っているではないか。こどもの頃、先生の書く瑞々しい文章に妄想を巡らせていたけれど、妄想した通りの素敵な場所に建っており、とても嬉しい気分になる。

外観の塗装は変えているだろうが、さくら一家が通っていた頃から建て替えなどはしていないのだろうか?建物もあの頃のままだったら、より嬉しい。(とくに「ちびまる子ちゃん」の舞台である昭和49年〜50年)

おっと!そんなことを考えていたら静鉄が通過!
お店の横には静鉄の高架がかかり、電車が通り過ぎるのを見ることができる。さくら先生フリークだけでなく、鉄オタ的にも◎

そうそう、ランチ営業は11時〜13時まで。筆者がお店に到着したのが、12時30分頃だったのだけど、まだ注文できそうでほっと一安心。
ちなみにランチ営業が開けたあとは、17時30分~21時が居酒屋営業となっている。常連だったひろしは家業の八百屋を閉めた後、一杯やるためにこの時間に足を運んでいたのだろう。へらへらしながら暖簾をくぐるひろしを想像して、ちょっとにんまりしてしまった。
【清水】“ちびまる子ちゃん一家”行きつけの店!「かね田食堂」の店内

居るはずのないさくら一家の姿を妄想しながら、お店の扉を開ける。ランチ営業終了間近の時間にも関わらず、多くのお客さんが食事を楽しんでいた。(写真はお客さんが捌けた際に撮影させてもらった)

店員さんに「お好きな席にどうぞ」と言われたものの、座敷ではアベックが楽しそうに談笑していたため、お邪魔にならないように超絶ぼっちな筆者はカウンターに着席。
と、そんな消極的選択でカウンターに座るも、上を見上げたら神の訓示かの如く光り輝く物体を発見!!

うおおおおおおーーーーーさくら先生のサインじゃないですか!!(まぁ事前に飾ったあるの知ってたんだけどw)
やわらかく優しいタッチのまる子が、ぼっちの筆者をあたたかく迎え入れてくれているようで嬉しい。
ちなみに、さくら一家は巴川が見える座敷に座ることが多かったようだ。でもまぁ、ひろしがひとりで来る時はカウンターだったのかもしれない。
【清水】“ちびまる子ちゃん一家”行きつけの店!「かね田食堂」のランチメニュー

「かね田食堂」のランチメニューはバリエーションが豊富。刺し身やフライ定食の他に「本日のパスタ」、まであるのだ!
というのも、昭和30年から営業している「かね田食堂」のご主人は現在3代目。いまのご主人は元々イタリアンで修行後にお店を継いだという経歴の持ち主。そのため、各種パスタ以外にもしらすピザなどのイタリアンも人気なのだとか。
しかも食材の魚介類は、毎朝由比漁港で仕入れたものを厳選して使っているというこだわりっぷり。
ちなみにさくら一家は、エビ天と柳川をよく注文していたのだそう。現在も柳川があるのかは確認し忘れてしまったが、エビ天(天ぷら)はいまでも食べることができる。
父はキリンビールを注文し、姉と私は三ツ矢サイダーを飲みながらエビ天と柳川が来るのを待つ。
引用:さくらももこ「まる子だった」
【清水】“ちびまる子ちゃん一家”行きつけの店!「かね田食堂」のフライ盛り定食

さくら先生がよく注文していたのが、エビ天と柳川というのはわかっているのですが、今回筆者はランチメニューから「フライ盛り定食」(1550円)を注文。
海老、ナス、レンコン、タチウオ、イカ、アジ、黒はんぺんが盛り合わせてあり、ボリュームも◎
ごはん、味噌汁、漬物、角煮までついている。まさに“ごちそう”といってふさわしい定食ではないか。

そして、お味はもちろんバッチグー。
衣は薄く纏っているためさくさくで、各食材の美味しさを際立たせている。
最近少々胃のもたれを気にするお年頃の筆者でも、ぺろりとこの量を平らげてしまった。ボリュームがあるのに、全く油っぽさを感じないため、胃が5歳は若返ったのではないかという錯覚に陥るほどだ。
とにかく美味しい。魚介類が美味しいのはもちろんなのだけど、野菜もとても美味しくてびっくりした。
そして付け合せの角煮も美味しくて、これでご飯が何杯でも食べられそう!瓶詰めにして別途売って欲しいぐらい気に入ってしまった。

そして、写真が汚くて申し訳ないが、こちらはしぞーか名物の黒はんぺんのフライ。
実は筆者は幼少期に少しだけ静岡県に住んでいたことがある。ただ、静岡といっても静岡の文化が全く入ってこない熱海市在住だったため、今回初めて黒はんぺんを食べた。
うん、結構個性的な味で、独特の風味が癖になる代物だ。実は今回静岡に来て、静岡名物を食べていなかったため、この黒はんぺんが唯一の静岡名物となった。さくら先生の思い出とともに、黒はんぺんも忘れられないいい思い出だ。
【清水】“ちびまる子ちゃん一家”行きつけの店!「かね田食堂」へゆこう!

はい、今回はさくらももこ先生一家も通っていた、清水にある「かね田食堂」さんへ行ってきた様子をお伝えしました。
今回さくら先生の聖地巡礼目的で訪れたのだけど、そんな付加価値がなくとも、食堂(居酒屋)としてのクオリティが高いため、さくら先生をあまり知らない人でも食事を存分に楽しめる場所だと思う。
とはいえ、さくら先生フリークの筆者としては、あまり知らない人はさくら先生の本を片手にお店を訪れてほしい。おいしいものと面白いもので、より幸せを感じることができると思うから。

【清水】“ちびまる子ちゃん一家”行きつけの店!「かね田食堂」場所・詳細
〒424-0831 静岡県静岡市清水区入江1丁目1−23
JR清水駅 江尻口から徒歩10分
営業時間:11:30~13:00/17:30~21:00(日・月定休日)
(状況により営業時間や営業日は変更となる可能性あり)
🚭店内禁煙 (※入口に灰皿あり)
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