高度経済成長期に建てられた団地には、寄り添うように給水塔が建てられ、その美しい姿は地域のランドマーク的存在として親しまれてきたわ。
そんな給水塔も昨今は団地の建て替えや給水設備の発達で、年々数を減らしているの。
そんな中、東京の外れ多摩川のほとりに建つ多摩川住宅には、5つもの給水塔が建てられ、”給水塔の聖地”の名をほしいままにしてきた・・・が!そんな多摩川住宅にも再開発の波は押し寄せ、ついに2022年に1基が取り壊されてしまったの!
2024年度からは新たな区画の再開発も決まり、もう1基給水塔が壊されてしまうみたいなの!!
これはショック!!団地×給水塔の風景は美しく、いまや昭和遺産としても貴重なものなのにっつ!!
寂しすぎるけど、ちゃんと給水塔とお別れするためにも、今のうちに写真に収めておかなければ・・・
と、いうことで、今回は建て替えが進んでいる”給水塔の聖地”、多摩川住宅を歩いてきた様子をレポートするわ。
【給水塔のある団地の風景】建替えが進む「多摩川住宅」歴史と概要【高度経済成長期の団地】
多摩川住宅はとにかく広い!
敷地は東京都調布市と狛江市にまたがっていて、その面積は33万4000㎡、分譲と賃貸合わせて88棟・3914戸、『イ』・『ロ』・『ハ』・『ニ』・『ホ』・『ト』号棟からなる6区画編成よ。(へ号はない。)
そしてなんと、多摩川住宅は東京都住宅供給公社(JKK東京)が手掛けた初の大規模団地なの!初ということもあり、公社の気合を感じる造りになっているわよネ。
高度経済成長期真っ只中の昭和39年(1964)〜昭和43年(1968)に造成され、昭和41年(1966)8月に1期目の入居が開始されたわ。
まさに団地のライフスタイルが最新でイケてた時代、多摩川住宅はモデル団地となり、当時皇太子だった現在の上皇様も視察にきているのよ。
広い敷地の中に、公園や保育園・幼稚園・小中学校に商業施設まで有した多摩川住宅は、かなり人気となり、入居倍率も凄かったみたい。(まぁ当時の団地はどこも高倍率だったのだけど。)
そして団地造成前のこの辺りは、年に1回は洪水が発生するような湿地帯で、人が住むことはなく一面に水田が広がる場所だったわ。
この時期に建てられた団地って、軍関係か水田だった場所がほとんどだけど、湿地帯のような難しい土地を整備して、人がしっかり住めるようにする執念(?)には毎度関心してしまう。まぁ、高度経済成長期の住宅不足を考えると、使える土地はどこで使わないとならなかったのかも知れないけど。
【給水塔のある団地の風景】「多摩川住宅」を歩く。
さぁ、それでは多摩川住宅のことが少しわかったところで、早速歩いてゆきましょ★
やっぱり団地×給水塔のコラボレーションを楽しみたいので、現在給水塔が建つ『イ』・『ロ』・『ハ』・『ニ』号棟を中心に歩いてゆこうと思うわ。
以下、あまり有益な情報はなく、ただただ団地×給水塔の美しい風景写真を貼っていくわね。(まぁ筆者の写真の腕前は大したことないのであしからず・・・)
【多摩川住宅】『イ』号棟と給水塔
美しい板状団地が立ち並ぶ中を歩いていると、早速見えてきました!『イ』号棟の給水塔!
んん〜ん、やっぱり団地×給水塔の風景は最高に萌える♡
『イ』号棟と給水塔。
水を給水するのに十分な圧力をかける必要があるため、昭和の給水塔は建物よりも高いのが鉄則。
多摩川住宅の給水塔は高地水槽方式と呼ばれるタイプで、高さはおおよそ40mあるわ。
最近の建物は高層化して、それよりも高い給水塔を建てるのが難しいというのもあるけど、機械の性能も上がっているため、高い給水塔は必要なくなってきたのよね。そのため、昨今では給水塔の数自体が少なくなってきているわ。
ノスタルジックな風景。
天まで届きそうな凛とした姿は、強くて美しいわね。
給水塔周りには柵が建てられていた・・・
給水塔もいいけど、団地に掲げられて号棟表記も素敵!
【多摩川住宅】『ロ』号棟と給水塔
そして続いては『ロ』号棟と給水塔。
とっくり型のくびれが美しい♡
多摩川住宅は給水塔も勿論素晴らしいのだけど、団地自体も昭和の残り香があり美しいのよネ♡
板状団地で構成されているものの、棟によって窓やバルコニーなどの造りが違ったりするのが萌える♡
そして号棟ごとに公園が美しく整備されていて、暮らしやすい造りになっているわ。
子育て世代からお年寄りまで、住みやすそうなのが良いわよね!
高齢化が進む昨今、団地巡りをしているとお年寄りや外国人が多いと感じるけど、多摩川住宅は若い親子の姿もちらほら見かけたわ。
そしてどの区画も、給水塔の前に広い公園が整備されている。
生活の中に当たり前のように給水塔が溶け込んでいて、どこから見ても美しく清爽な感じがするわネ。
【多摩川住宅】『ハ』号棟と給水塔
続いて見えてきたのは『ハ』号棟の給水塔。
『ハ』号棟と給水塔のコラボレーション。
青空に映える給水塔。素敵♡
給水塔の影から、『ハ』号棟を覗き見。
団地内でひとつの街が形成されていて、道路も広く清々しい雰囲気。
【多摩川住宅】『ニ』号棟と給水塔
最後に見えてきたのは、『ニ』号棟と給水塔。
強さと儚さを感じる・・・
給水塔の周りにはロープが掛けられ、『ニ』号棟の建替え計画の看板が・・・
そう、『ニ』号棟は現在再開発が決定していて、建て替えられる予定なの。
そのため、この『ニ』号棟の給水塔も取り壊されるのでは?と言われているわ。
給水塔の麓にはベンチが設けられ、かつてここでは多くの住人たちがくつろいでいたのだろうなぁ・・・
団地造成から60年ほど経ち、老朽化による建替えが行われるのは仕方がないけど、やっぱり昭和の団地ファンとしては寂しくってしょうがない・・・
給水塔にいたっては団地自体の建て替えがなくとも、給水設備の発達で年々姿を消しているというのに・・・
貴重な風景として多摩川住宅のものは残してほしいのよね〜。
スターハウスを残してくれた赤羽台団地ですら、給水塔は取り壊されてしまったので残すのは難しいのかしら?
多摩川住宅の給水塔も赤羽台団地のスターハウスのように、国の登録有形文化財に指定していいと思うのよネ。給水塔も立派な昭和遺産なんですから。
なんてことを思いつつ、『ニ』号棟のお洒落な窓を眺める。
おっ!公園には昭和の遊具の定番ぐるぐる回るやつがまだあるっ!!(遊具名は知らない・・・)
団地や給水塔と共に、貴重な昭和の風景だわね。
そして奥に見えるのは、建て替え真っ只中の『ホ』号棟。
分かっちゃいるけど、綺麗になる『ホ』号棟に少し寂しさを感じる。以前は『ホ』号棟にもう一基給水塔があったのよ・・・
仕方がないけど、こうして昭和の風景が消えていってしまうのは悲しいわ。
【多摩川住宅】BUMP OF CHICKEN「天体観測」のMVロケ地
消えゆく昭和の風景にしんみりしつつ、多摩川住宅といえばの情報でお伝えしておきたいのが、BUMP OF CHICKENの大ヒット曲「天体観測」のMVのロケ地として使われているということ。
給水塔もバッチリ映っていて、美しい団地の景色が堪能できるわ。(もちろん音楽も素晴らしいんだけど。)今後どんどん再開発が進もうとも、映像の中では美しくあり続けると思うとバンプに感謝だわ。
それにしても、この曲が発売されて20年以上経ってることに驚きよ。時が経つのは恐ろしいほど早いわね・・・
そして、その他ゆかりの人物としては、漫画家のつげ義春先生が昭和53年(1978)頃から多摩川住宅に住んでいたそう。バンプやつげ義春ファンにとっても聖地!
【給水塔のある団地の風景】建替えが進む「多摩川住宅」を歩こう!
今回は”給水塔の聖地”多摩川住宅を歩いてきた様子をお伝えしたわ。
2022年に1基取り壊されたとはいえ、昭和の風景が減少していく昨今、これだけ立派な団地×給水塔の風景が見られるのは貴重中の貴重。
おそらくもう1基取り壊されるのは時間の問題だけど、それでも多摩川住宅が”給水塔の聖地”であることは変わりがないわ。
是非みなさまも、今のうちにこの素晴らしき風景を目に焼き付けてみてはいかがかしら?昭和のノスタルジックな景色は生涯忘れられない思い出になること間違いなしよ。
★☆団地は住宅です!住民のみなさまの迷惑にならないように、静かにひっそり・楽しく散策しましょ!!☆★
【多摩川住宅】場所
東京都調布市染地・東京都狛江市西和泉
京王線国領駅から徒歩20分ほど・バス停国領7丁目駅から多摩川住宅中央駅までバスあり。
京王線調布駅南口/小田急線狛江駅からバスあり 多摩川住宅中央駅まで
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