横浜には多くの老舗喫茶店やナウいカフェが点在し、オシャレニストたちがSNSを通して競うように素敵なお店を紹介している。
SNSで知名度の高いお店ももちろん素敵。素敵なんだけど、そういったお店はたいてい混雑しており華やかな雰囲気に包まれているため、陰キャをこじらせた筆者はどうもこうにも落ち着かない。
喫茶店ファンとしては昨今の”純喫茶ブーム”は嬉しい反面、陰キャとしては少しだけ悲しくもある。何というか、学生時代に仲の良かった地味だけど博識の男子(顔もまぁ良い)が、派手目の一軍ギャルに見つかってしまった寂しさに似ている。まぁ面倒くさいけど陰キャってそんなもん。
と、そんな筆者のような(面倒くさい)陰キャでも安心して行ける喫茶店が横浜には、まだある。
そこは横浜第二合同庁舎内にある喫茶室。公共施設なだけあり客層も落ち着いた印象で、まだまだ渋い雰囲気が残っている。
そして公共施設ということで侮るなかれ。そんな税金がかかった真面目な場所で、とびきりレトロな固めのプリンとクリームソーダを堪能することができるのだ!
そのうえ横浜第二合同庁舎は『横浜市認定歴史建造物』にも認定されているため、古マニアにはぜひ足を運んでほしいスポット。
ということで、今回はそんな陰キャなマニアのため、横浜第二合同庁舎でプリンとクリームソーダを堪能してきた様子をお届けしますよ。
【馬車道】横浜第二合同庁舎の歴史と外観
みなとみらい線の馬車道駅4番出口を出てすぐの場所に、威風堂々とした只者ではない佇まいで鎮座するのが、今回の目的地横浜第二合同庁舎だ。
もともとこの建物は明治時代に「横浜生糸検査所」として、当時主要な輸出品であった生糸の品質を確保するために建てられたもの。大正12年(1923)には関東大震災の被害を受けるも、復興事業として大正15年(1926)に、鉄筋コンクリートの先駆者として名高い建築家・遠藤於菟(おと)の設計により再建される。
その後、平成2年(1990)に『横浜市認定歴史建造物』に指定され、平成7年(1995)には高層棟の建設を含む大改装が行われ、横浜第二合同庁舎として使われるようになったのだ。紆余曲折ありながらも今も現役バリバリで頑張る姿は、筆者がババアになったからかちょっぴり共鳴してしまう。
ちょっと余談だけど、関東大震災で横浜の街も甚大なる被害を受けている。その復興事業として現在の横浜の街の原型のようなものもできていて、とっても興味深い。ちなみに、大人気デートスポットである山下公園も復興事業として、震災の瓦礫で作られていたりする。山下公園でイチャつくリア充カップルども、この場所の重みをもっと知るがよい・・・・
⬇横浜の歴史をちょっとだけ載せてます。よかったらこちらもどーぞ!
お〜っと、ちょっとリア充への嫉妬心から話がそれてしまったが、庁舎前には建物の歴史を記した看板が設置されており、何もわからずに訪れても勉強になるというありがた〜い仕組みができている。
近隣には歴史的建造物が多く、それぞれの建物ごとにこういった看板が設置されているため、建造物を観て廻るだけでも横浜の街は楽しい!
筆者はこどもの頃、横浜で暮らしていたのだけど、当たり前の景色になりすぎていてしっかり建物を観ていなかったのが悔やまれる。
過ぎ去った日々は取り戻せないので、大人になったいま、歴史的建造物の有り難みと素晴らしさと歴史を噛み締めながら鑑賞する。
【馬車道】横浜第二合同庁舎・中に入って喫茶室を堪能
一通り外観を堪能したら、いざ中に入っていきましょい!
入口を入るとすぐにお目当ての喫茶室はあるため、迷うことなくたどり着くことができる。動線が簡単だと一般人でも使い勝手がよく、かなり助かる。
ちなみに喫茶室の奥には「レストランボノ」という食堂も完備しており、こちらも一般人の利用が可能。がっつり食事をしたいときはレストランの利用もいいかも。
喫茶室の入口はとても簡素。
シンプルに「喫茶」とだけ書かれた看板は味があり、多くは語らないのに有能なことがわかる。いや、多くは語らないからこそ有能なのか。
簡素な入口を入ると、レトロな食品サンプルがお出迎え。
プリン以外にもホットケーキやスパゲティ・サンドイッチなど、古き良き喫茶店のメニューが並び、否応なしに心が弾む。
食品サンプル以外にも、手書きのメニューPOPもいい感じ。『令和でもお店は昭和!!マスターも』と書かれた文字もナイス。
マスターは絶対昭和であってほしい。マスターが平成生まれだと疑似昭和しかできない、なんせ昭和後半生まれの筆者でさえ疑似昭和しか醸し出せないんですもの・・・本物の昭和を味わうなら昭和を満喫した人からしか得られないというものだ。
そしてサンドイッチのパンが、横浜の老舗パン店「かもめパン」を使っているというのも高ポイント。今回プリン目当てだったたためサンドイッチは食べなかったけど、食べてないけど絶対に美味しいであろうことはわかる。
そして公共施設らしく、注文は食券形式。これはコミュ障にはありがた〜いシステム。
そして店内はわりと広く、一人席も多いのでぼっちでも安心。(筆者はぼっちだけど空いていたからか、二人席を案内された。)
レトロでクラシカルな空間は昭和の面影を感じ、異様なまでの居心地の良さを発揮している。
大きくとられた窓からは、日差しが差し込み清々しい。
全身からレトロが放出されたライトも、雰囲気がありとびきりかわいい。
【馬車道】横浜第二合同庁舎・昭和レトロなプリンとクリームソーダ
レトロでクラシカルな店内を堪能したら、いよいよお目当ての昭和レトロな固めのプリン(400円)とクリームソーダ(600円)をいただいていこうではないか。
それにしても値段の安さには驚かされる。庁舎にある喫茶室や食堂は安いことでお馴染みだが、これだけのクオリティの食べ物を、このお値段でいただけるって有り難いったらありゃしない。
写真映えするカフェだったら、この倍はとってもおかしくないクオリティ。しかもこういった庁舎の食堂は出来合いのものが使われることが多いにも関わらず、こちらのプリンはなんとマスターの手作りだっていうのだから侮れない。
コルトンディッシュに行儀よく盛られた手作りのプリンと、なみなみと注がれたメロンソーダと規則正しく乗ったバニラアイスの美しさには目を奪われる。
コルトンディッシュに盛られたプリンはプリン・ア・ラ・モードっぽくもあり、どこかワンランク上に感じられる。
ちなみに、プリン・ア・ラ・モードの発祥は横浜。横浜のホテルニューグランドから美しいプリン・ア・ラ・モードの歴史は始まったのだ。
⬇ホテルニューグランドのプリン・ア・ラ・モードについてはこちらをどーぞ。
あまりのゴージャスな見た目のプリンに感動し少し話がそれてしまったが、こちらのプリン、見た目に負けず劣らずお味だってバッチグー。
黄身感の強い弾力ある固めのプリンは濃厚で食べごたえも十分。手作りの良さが最大限に生かされており、どこか懐かしくも本格的な味わいは一度食べたら離れられなくなる美味しさだ。
この美味しいプリンを作るのに横浜市の税金が使われていると思うと、横浜市に税金を収めていない筆者は少し申し訳なくなるも、ちょいちょい横浜でお金を使っているので今後もこのプリンを食べさせていただきたい。
そしてプリンだけでなく、クリームソーダだってバッチグーな美味しさ。
昨今のオシャレクリームソーダとは一線を画した、無骨ながらも正統派な凛々しい姿には思わずうっとりしてしまう。北斗神拳の伝承者のごとき、正当なクリームソーダの姿に感涙。
しっかり濃い目のメロンソーダが嬉しい。当たり前のことなんだけど、いささか最近のクリームソーダは薄いこともあるので、しっかり目のメロンソーダの有り難みが身にしみる。
このレトロでクラシカルな落ち着いた空間で、昭和レトロ全開の固めのプリンとクリームソーダを堪能できるなんて有難き幸せ。SNSを賑わす老舗の喫茶店やナウいカフェもいいけれど、華やかな空間に尻込みしてしまう陰キャ寄りの喫茶店ファンやレトロ好きさんたちは、横浜第二合同庁舎の喫茶室でのびのびゆっくりくつろいでみては如何でしょうか?是非横浜レトロめぐりの参考にしてみてネ☆
【馬車道】横浜第二合同庁舎・喫茶室 場所・詳細
〒231-0003 神奈川県横浜市中区北仲通5丁目57
みなとみらい線馬車道駅4番出口 徒歩1分
営業時間:7:00〜18:00(土日祝休業日)
全席禁煙
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