
昭和47年(1972)に建築家・黒川紀章氏により建てられた、「中銀カプセルタワービル」が解体され早3年が過ぎようとしている。(2022年解体)
銀座のシンボルとして長年人々に愛され続けたこのビルは、日本、いや、世界に誇るメタボリズム建築といっても過言ではなかったわよね。
黒川紀章氏の作品は各地にあれど、老朽化や再開発により、同時期に建てられたビルは解体されてしまったものが多い。
そんな中、前年の昭和46年(1971)に竣工された千葉県の「佐倉市役所」は今でも現存し、市民の皆様に親しまれているの。
今回はそんなまだまだ現役ばりばりの、佐倉市役所を愛でてきた様子をお伝えするわネ♡
【千葉県佐倉市】「佐倉市役所」を愛でる

佐倉市役所があるのは、千葉県佐倉市(当たり前だけど)。最寄り駅は京成佐倉駅で、北口から徒歩10分ほど歩いた小高い丘の上に存在しているわ。
ちなみに今回一応ダメ元で、職員の方に内部の撮影も可能か伺ってみたのだけど、やはり難しいとのこと。そのため外観のみの撮影となっているのでご了承くださいませ。
まぁね、市役所なんて個人情報の塊ですもの、残念だけどさすがに撮影は無理よね。でも、こんなどこの馬の骨かもわからない筆者に、親切丁寧に対応してくれた佐倉市役所の皆様、ありがとうございました!

内部の撮影ができないのは残念だけど、気を取り直して佐倉市役所を愛でていきましょ!だって、こんなに素晴らしい建物なのですから♡
ここでちょっくら佐倉市役所のデーターを記載しておくわネ!⬇
設計者 | 黒川紀章 |
施行 | 安藤建設(現・安藤・間) |
建築主 | 千葉県佐倉市 |
階数 | 地上6階・地下1階 |
着工 | 昭和45年(1970) |
竣工 | 昭和46年(1971) |

こんなに素敵な佐倉市役所は、2018年度にDOCOMOMOJapanの“日本におけるモダン・ムーブメントの建築”に選定されているのよ!
ただ、同じく黒川紀章作品で同じ賞に認定されている「寒河江市役所」(1967年竣工)は、2017年に国の登録有形文化財に指定されているのよね。佐倉市役所もついでに指定しちゃえばよかったのに。(テキトー)

どことなく「中銀カプセルタワービル」を思わせる形状。まぁもちろん、カプセルタワービルのようにカプセルを移動させることはできないのだけど・・・・
黒川紀章氏は昭和40年(1970)に開催された大阪万博の「空中テーマ館」や「タカラ・ビューティリオン」で、既に“カプセル建築”を確立させている。同時期に建られた佐倉市役所も“カプセル建築”の流れを組み設計されているわ。
ここから「中銀カプセルタワービル」につながってくると思うと、胸アツよね♡

みょんと伸びたパイプが、なんともメタボリズム。
高度経済成長期に建てられた、市役所などの公共施設は押しなべて豪華。流行りもあったのだろうけど、お金と余裕があったからこそ、メタボリズムやモダンな建築物を建てられたのよね。
コンクリートの耐用年数が50年と言われているため、老朽化や耐震性の影響で昨今は建て替えや取り壊しが多くなってきている。なんだか寂しいかぎりよね・・・・

カプセル部分の丸窓も「中銀カプセルタワービル」っぽい。

やっぱり美しいよね。筆者は語彙力もないし、頭もわるいので、こういうときどう表現していいのかわからなくなってしまうけど、それでも美しいものは美しいと言う。

横から。

入口部分。
気持ち悪いぐらい撮影しまくっていたけど、そんな筆者を入口に立つ警備員さんは、生あたたかく見守ってくれた、感謝しかない。

みよんとしたパイプは中にも続いている。
今回、中も少し見学させてもらったけど、ロビーが吹き抜けになっていて、とても素敵だったわ。まぁさぁ、市民でもなくこれから佐倉市に住むわけでもない部外者が、市役所内をうろうろしていたら怪しいわよ。お邪魔にならないように少しだけ見学させてもらったけど、それでも素敵さはとくと伝わったわ。

入口の庇の裏からして、もうかっこいい。

嗚呼、この角度から見るカプセルもぐっときちゃう♡
【佐倉市役所】佐倉市議会 議場棟もメタボリズム!【黒川紀章建築】

そして、すばらしきメタボリズム建築は市役所だけではないの。
市役所の隣に建つ議場棟も見逃せないメタボリズム建築。こちらの議場棟も市役所と同時に建てられた、黒川紀章氏の作品なのヨ!
流線型(?)の屋根がめちゃくちゃかっこよくない?こんなにかっこいい議場って、なんなん?

柱を一本も使っていない、美しきフォルムには思わずうっとり♡

なんか怪獣みたい。唯一無二な怪獣。

議場という現実世界のものなのに、どこか非現実的で夢の中に浮かぶアートのような美しさ。(なんかよくわからん表現ですまん・・・・)

そんな非現実的な夢見心地の中、現実的なものを発見(笑)
たぶん、不届き者が登るんだろうね、屋根には立入禁止の柵がかかっていたわ。やーねぇ。
でも、“立入禁止”のフォントが昭和感があってよきだわ。
【佐倉市役所】改修?建て替え?取り壊し?

実は少し前に『佐倉市役所は取り壊して建て替えするらしい。』という噂を耳にしたの。そういうのもあって、今回ずっと見学したかった佐倉市役所に足を運んだっていうのがあったのね。
で、改めて佐倉市のHPなども確認してみたのだけど、平成29年(2017)3月に『旧耐震建築物の耐用年数(65年)を踏まえ、将来の庁舎に向けた検討が必要と記載』との記述があるのみで、特に具体的な取り壊しや建て替えが決まっているわけではないようなのよね。
でも、市のHPには『新庁舎準備室の設置について』というページがある。新庁舎ができる=現庁舎取り壊しってこと!?
個人的には70年代の黒川紀章の貴重な“カプセル建築”ですもの、できることなら残す、もしくは活かす方向で動いてくれると嬉しいです、佐倉市さん!!
【昭和の映像!】佐倉市の公式YouTubeで「佐倉市庁舎建設記録」が見れるぞ☆
最後にご紹介したいのが、上記のYouTube動画!
佐倉市公式YouTubeチャンネルでは、建設当時の様子が拝める昭和の映像「佐倉市庁舎建設記録」という記録映画を見ることができちゃうのだ!ありがたや〜。
ひたすた建築の様子が撮影されているのだけど、できたてほやほやの佐倉市役所の様子が見られるお宝映像となっているので、ぜひチェックしてみてネ♪(少しだけ内部の映像も出てくる)
【メタボリズム市役所】黒川紀章建築の「佐倉市役所」を愛でよう!

はい、今回は昭和46年(1971)に竣工された「佐倉市役所」を見学してきた様子をお伝えしたわ。
黒川紀章の“カプセル建築”の流れをくんだメタボリズムな市役所は、まさに圧巻だったわネ!経年劣化とか老朽化などいろいろあるのだろうけど、できることならこの素晴らしい作品を後世に残していきたいものよネ。
そして今回、佐倉市役所の職員さまおよび佐倉市民のみなさま、佐倉市に縁もゆかりも無い杉並区民の筆者が、市役所の見学および外観撮影をしている姿を、生あたたかく見守ってくれてありがとうございました!
今後、佐倉市役所を見学したいという人は、市民の方に迷惑がかからないように、静かに、楽しく、建築を愛するものとしての良識を持って見学しましょうネ!
【おまけ】高橋真琴先生のラッピングバスを発見♡【昭和レトロ】

市役所のバス停で、高橋真琴先生のラッピングバスを発っ見ーんっ♡
かわゆい♡かわゆすぎるだろ♡
高橋真琴先生は昭和38年(1963年)から、亡くなる令和6年(2024)までの61年もの間、佐倉市で暮らしていたのよ。現在の佐倉市役所ができる前から住んでいるってすごっ!(90歳没)
(※高橋先生は平成30年(2018)に“佐倉親善大使”に任命されています、それもあり同年からラッピングバスが走っているみたい。)
【メタボリズム市役所】「佐倉市役所」の場所
〒285-8501 千葉県佐倉市海隣寺町97
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