昭和４３年（１９６８）年１２月１０日。雨の降る寒い冬の朝に事件はおこった。
日本信託銀行国分寺支店から、東芝府中工場の従業員４５２５人に支給するボーナス、２億９４３０万７５００円を乗せた現金輸送車が強奪される。
そう、戦後最大のミステリーと呼び声の高い「現金輸送車強奪事件」通称「３億円事件」よ。
筆者が生まれる前の事件で、生まれる前の昭和５０年（１９７５）に時効をむかえているにも関わらず、多くの映画やドラマ、ドキュメンタリーや書籍の影響でかなり身近に感じる昭和のミステリーだったりするのよね。
そんなわけで、なんとな〜く３億円事件の現場でも歩いてみようじゃないかと思い立ち、ちょっくら散歩がてらブラブラしてきた様子をお伝えするわ。
特に事件を考察しているわけでもなんでもなく、かな〜りゆる〜い感じで現場を歩いているだけなのであしからず・・・
【昭和のミステリー】三億円事件・訪ねた現場と辿るルート
今回訪れた３億円事件の現場は以下の通りよ。
第１現場・事件の舞台となった、現金輸送車が強奪された場所。
第２現場・強奪した現金輸送車（黒のセドリック）を乗り捨て、トヨタカローラに現金を載せ替えて逃走した場所。
第３現場・偽白バイを停車させ、犯人が犯行直前まで待機していたと思われる場所。
第４現場・事件から４ヶ月後に、３億円が入れられていたジュラルミンケースが入ったトヨタカローラが発見された場所。
上の地図の赤ルートが現金輸送車、青ルートが偽白バイに乗った犯人よ。
今回、犯人の気分を味わうために（？）以下のルートでご紹介するわネ。
①現金輸送車が出発した、日本信託銀行国分寺支店。
②偽白バイ待機場所・第３現場。
③現金輸送車が強奪された事件の舞台・第１現場。
④現金輸送車乗り捨て場所・第２現場。
④ジュラルミンケースが入ったトヨタカローラの発見場所・第４現場。
【３億円事件】現金輸送車の出発場所「日本信託銀行国分寺支店」
ここは中央線国分寺駅、いよいよ３億円事件を巡る旅のスタートよっ☆
東芝府中工場で働く人々のボーナスを乗せた現金輸送車は、ここ国分寺にあった「日本信託銀行国分寺支店」から出発。
犯人も当日この辺りで緑のカローラ（通称・第１カローラ）に乗車して、現金輸送車のルートを確認していたのではないかと言われているわ。
あっ、もちろん緑のカローラ（通称・第１カローラ）は盗難車ね。
「日本信託銀行国分寺支店」は、国分寺駅からほど近い場所にあり。
ただ、今はなき「日本信託銀行」・・・国分寺支店があった場所には現在はローソンやサイゼリヤなどが入るビルに生まれ変わっていたわ。
昭和４３年（１９６８）年１２月１０日に、３億円を乗せた現金輸送車がこの場所から出発したと思うと感慨深いわネ。
それにしても、東芝府中工場で働く人々はボーナスが貰えるんですもの、この日は朝からウッキウキだったでしょうね〜。
それがこんな昭和を代表する事件に発展するだなんて、思っても見なかったことでしょうに・・・
【３億円事件】第３現場・偽白バイの待機場所
さぁ、続きましては、犯人の偽白バイが停車していたといわれる通称・第３現場付近よ。
事件当日に、エンジンの掛かったままの偽白バイが空き地に停まっているのを、近所の住民が目撃しているわ。
あ、でやっぱりこの偽白バイに塗装したバイクも盗難車だから。
地図上で赤のルートが現金輸送車、青のルートが犯人が辿ったと思われる道ね。
犯人は日本信託銀行国分寺支店を出発した現金輸送車を、緑のカローラ（通称・第１カローラ）で追跡。この第３現場で車を乗り捨て、偽白バイに乗って犯行に及んだのではないかと考えられているわ。
第３現場を突き進むと、いよいよ事件の現場となる「学園通り」につきあたる。
【３億円事件】第１現場・現金輸送車強奪場所【府中刑務所裏】
さぁ〜それではいよいよ、昭和最大のミステリーの「３億円事件」の舞台である、現金輸送車が強奪された場所にむかいましょ〜！
第３現場を抜けて学園通りを進むと、府中刑務所の高い壁が現れるわよ。
事件がおきた場所が、府中刑務所の裏でおきてるっていうのも、「３億円事件」のミステリー感というかドラマ感を高めている気がするわ。
今でこそ圧迫感のない白い壁で覆われている府中刑務所だけど、事件当時の写真や映像を見ると、重苦しいコンクリートの分厚い壁で囲まれている。何だか鬱々とした恐怖を感じるのよね・・・
ちなみに、現場へ向かう途中には「東京都府中高等学校」があるわ。
事件当時タレントの高田純次さんや歌手の布施明さんが通っていて、彼らも被疑者として事情聴取されたんだとか。
現場近辺には多くの学生が住んいたため、警察のローラー作戦がおこなわれたそう。そのため、十数万人の人たちが被疑者として調べられているわ。この辺に住んでいた若者は大体調べられているんじゃないかしら？
いや〜それにしても、当時の府中高校に高田純次さんと布施明さんがいたなんて、豪華にも程があるわよネ！
筆者はお二方とも大好きなので、同じ時代を同じ高校で過ごせた人たちが羨ましいわ〜。
そんなこんなで、偽白バイに乗り偽警官に扮した犯人により、三億円を乗せた現金輸送車が強奪された現場付近に到着。
事件当時の写真にも、奥に映る歩道橋がバッチリ写っているので、おそらくこの辺りが強奪場所だと思われる。
そして府中刑務所の塀からひょっこり頭を覗かせる建物は、奇しくも三億円を届けるはずだった東芝のエレベーター試験棟。（勿論当時は存在しない。）
事件がおきたのは昭和４３年（１９６８）年１２月１０日、時刻は午前９時２１分頃。
犯行に及んだ時間はわずか３分だったって言うんだから驚きね。
偽白バイ隊員に現金輸送車を奪われた行員たちは、現金輸送車に乗り込み去ってゆく白バイ隊員に扮した犯人を、爆発被害を抑えるために現金輸送車を移動させる勇敢な警察官だと思っていたみたい。
１０分程して、やっと行員たちは現金輸送車を強奪する事に気がつく。その際に府中刑務所の監視塔にいた刑務官に警察に連絡するように声をかけるわ。
そんな監視塔も今では姿を消し、防犯カメラが見守っている。
いや〜それにしても、大人になって仕事をするようになると、現金輸送車を強奪された行員の気持ちを考えるようになるわよね・・・
考えれば考えるほどツラくなってくる・・・仕事でこんな事やらかしちゃったら、もうパニックよ。
どうか当時の行員たちが幸せに暮らしている（いた？）事を願うばかり。
な〜んて事を考えていたら、白バイ隊員さんとすれ違ったわ。（本物）
これにはかなりテンションがあがってしまう！！
ちなみにこの歩道橋、府中刑務所の中が見えないように、しっかり柵で覆われている。まぁそりゃそうよね・・・
【３億円事件】第２現場・現金輸送車が乗り捨てられた場所【七重塔跡・武蔵国分寺跡】
そして現金輸送車を強奪した犯人が向かったのが、こちらの七重塔跡近隣。
七重塔跡近くの墓地入口および武蔵国分寺跡のクヌギ林に、現金輸送車を乗り捨てたわ。
事件当日の朝、この場所に濃紺のカローラ（通称・第２カローラ）が停まっているのを、近所の住民が目撃している。
そのため犯人はこの場所で、現金輸送車から３億円の入ったジュラルミンケースを濃紺のカローラ（通称・第２カローラ）へ移動させ逃走をはかったとみられているわ。
そして勿論、濃紺のカローラ（通称・第２カローラ）も緑のカローラ（通称・第１カローラ）同様盗難車ネ。
事件当時の写真を見ると、かなり鬱蒼とした林に現金輸送車が乗り捨てられているけど、今ではかなりスッキリと整備されているわね。
【３億円事件】第４現場・ジュラルミンケース入第２カローラが乗り捨てられた場所【公社小金井本町住宅】
そして第４現場となったのが、こちらの小金井本町住宅よ。
事件発生から４ヶ月後の昭和４４年（１９６９）４月９日に、現金輸送車から乗り換えたと思われる、濃紺のカローラ（通称・第２カローラ）が、小金井本町住宅の駐車場で発見されたわ。
カバーが掛けられていた濃紺のカローラ（第２カローラ）の後部座席からジュラルミンケースが見えたと、車の契約のために団地に訪れていたセールスマンが通報。
ちなみにこの濃紺のカローラ（通称・第２カローラ）は、ナンバープレートが「多摩5ろ3519」から「多摩五郎」なんてコードネームが付けられているわ。
当時憧れの生活スタイルとして、人気を集めていた団地ライフ。
カバーが掛けられたいたとはいえ、４ヶ月ものあいだ放置されていた車に気付かないという、団地ならではの近所付き合いの希薄さも浮き彫りになったんだとか。
まぁとはいえ、団地は人の出入りが激しいく人目に付きやすいので、ジュラルミンケースから現金を抜き取ったのは別の場所だろうと考えられているわ。
まぁこればかりは犯人のみぞ知るネ。
ちなみに、駐車場裏の粗大ごみ指定置き場でスーツケースを発見。
３億円入っているんじゃなかろうかと、無駄にドキドキしちゃったわ。
【３億円事件】ボーナスを受け取るはずだった東芝府中工場
最後に・・・３億円をボーナスとして受け取るはずだった、東芝府中工場も見ていきましょう。
今は東芝府中工場という呼び名ではなく、東芝府中事業所になっているわ。
現金輸送車が強奪された現場から、本当にすぐ近く！！ボーナスはもう目と鼻の先まで迫っていたのに〜！！！
でもまぁ、奪われた３億円は保険で賄われ、無事に東芝府中工場の人たちは翌日にはしっかりボーナスが支給されたので本当に良かった！！！
これでボーナス貰えなかったら辛すぎるわよね。
武蔵野線の北府中駅から東芝の建物を眺める。
３億円事件当時はまだ武蔵野線は開通しておらず、国鉄の貨物支線の駅として使われていたわ。
とにかく、筆者のような労働者からすると、東芝府中工場の従業員の皆さんがしっかりボーナスを受け取れた事にホッとするわ。
犯人が暴力に訴えなかったり、保険による保証で日本国内での損失がなかった事もあり、被害金額の２億９４３０万７５００円の語呂合せで「憎しみのない強盗」と言われる「３億円事件」。
ボーナスが貰えなかったら、憎しみしかないわよね。
※盗まれた３億円には保険が掛けられていて、さらにその保険会社も海外の保険会社に再保険をかけていた。そのため、日本国内の損失はなかった。
【３億円事件】現場を周って昭和のミステリーに思いを馳せよう！
はい、今回はかな〜りゆる〜い感じで、戦後最大のミステリー「３億円事件」の各現場を巡ってきたわ。
今でも多くの人を惹きつける「３億円事件」。筆者もザックリだけど周辺を歩いてみて、「３億円事件」がより身近な気がしてきたわ。
こんなに近距離で行われた犯罪行為、犯人は今どこで何をしているのだろう？
もしかしたら、案外身近にいたりして・・・
⬇ジュリーが３億円事件の犯人に扮した、昭和５０年（１９７０）のドラマ「悪魔のようなあいつ」
ぶっとんだ内容で好きです。
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