森鴎外は苦手だ。
正確に言うと、森鴎外が苦手なわけではなく、森鴎外の書く文章が苦手だ。
それもそのはず、控えめに言って頭の悪い筆者は、鴎外の書く文章が難読すぎて頭に入らないのだ。
鴎外の作品をそこそこ読んできたけど、ろくすっぽ内容は頭に入っていない・・・ちゃんと覚えているのっていったら、「舞姫」「山椒大夫」「高瀬舟」ぐらいという体たらくぶり。
そんな筆者でも、鴎外の娘で作家の森茉莉さんは大好き!
代表作である「甘い蜜の部屋」や「恋人たちの森」などの耽美小説にうっとりし、小説やエッセイなどで垣間見せる、ぶっとんだ人柄に魅了されたものよ。(絶対に友達にはなれそうにないけケド。)
中でも茉莉さんが書く、食べ物の表現が大好き。茉莉さん自身、くいしんぼうで料理が好きだった事もあり、どれも美味しそうなのよね〜♡
ロシアサラダに魚と野菜のサラダ、牛肉とキャベツの煮込み、カレーご飯・・・茉莉さん同様くいしんぼうの筆者は、食べ物の表現にも魅了されたものよ。
そんな茉莉さんが書く食べ物の中で、一番有名なのはおそらく「饅頭茶漬け」じゃないかしら?
この「饅頭茶漬け」は茉莉さんのパッパ・森鴎外が好んで食べたものとして、随筆の中に登場するわ。
以前、人気番組だった「トリビアの泉 ~素晴らしきムダ知識~」で取り上げられた事もあるそうで、茉莉さんの本を読んだことがない人にも広く知られているようね。(筆者の記憶が間違いでなければ、「笑っていいとも」でも取り上げられていた気がする。)
今回は、そんな森鴎外の好物としてお馴染みの「饅頭茶漬け」を作ってみたわ。
茉莉さんのレシピをいくつか真似して作った事もある筆者ですが、今回恐る恐るではありますが、生まれて初めて「饅頭茶漬け」に挑戦してみたわよ。
そのお味は如何に!調理から味まで徹底的にレポートするわネ。
【鴎外の好物】森茉莉・「記憶の繪」「貧乏サヴァラン」【饅頭茶漬け】
「饅頭茶漬け」を作って行く前に、まずは「饅頭茶漬け」について記されている、森茉莉さんの著書をご紹介するわネ。
森鴎外が「饅頭茶漬け」を好んで食べていたことは、昭和43年(1968)に筑摩書房より発刊された、森茉莉さんの著書「記憶の繪」(のちに旺文社文庫・ちくま文庫から1992年に発刊)の中の一章「鴎外の味覚」に記されているわ。
その饅頭を父は象牙色で爪の白い、綺麗な掌で二つに割り、それを又四つ位に割ってご飯の上にのせ、煎茶をかけて美味しそうにたべた。
引用:森茉莉「記憶の繪」より「鴎外の味覚」
「鴎外の味覚」の中には「饅頭茶漬け」以外に、果物を煮て砂糖をかけてたもの、挽肉と人参のみじん切りを馬鈴薯の濾したので包んで揚げたコロッケ、栗や薩摩芋を醤油と砂糖で煮たものなどなど、鴎外が好んで食べていたものが記されているけれど、そんな中でもやっぱり「饅頭茶漬け」のインパクトは強いわよね。
いや〜まぁでも、インパクトは強いんだけど、茉莉さんは食べ物を非常に美味しそうに表現するので、(饅頭茶漬け以外でも)「饅頭茶漬け」がとても魅惑的な上品な食べ物に感じさせるのよね。
その他にも茉莉さんの死後に、編集者の早川暢子氏により編成された平成10年(1998)発刊の「貧乏サヴァラン」の「鴎外の好きなたべもの」にも記載があるわ。
【森鴎外の好物】「饅頭茶漬け」の材料。【森茉莉/「記憶の繪」より】
今回は茉莉さんの著書「記憶の繪」にのっとり、森鴎外の好物「饅頭茶漬け」を作っていくわよ☆
まず材料は以下のとおり。
1・饅頭(本当は葬式饅頭がよい)
2・白米
3・煎茶
まぁ、ひとつひとつは美味しいものよネ。
茉莉さんによると、鴎外は葬式饅頭で「饅頭茶漬け」を作っていたようだけど、有り難いことに葬式に参列する機会がまだ訪れない筆者は、ヤマザキの「もみじまん」を用意。
葬式饅頭は地域により形状が変わってくるようだけど、筆者が子供のころから見てきた葬式饅頭は「春日饅頭」と呼ばれる小判型のこのタイプで、忍ヒバやヒノキ、もみじなんかが焼印されていたわ。
茉莉さんの「記憶の繪」の「鴎外の味覚」の中にもこう記されている。
どこかで葬式があると昔はものすごく大きな饅頭が来た。葬式饅頭といっていたいたもので、ふつうのお饅頭の五倍はある平たい饅頭で、表面は、釣り忍に使うあの、忍草を白く抜いて焦がしてある。
引用:森茉莉「記憶の繪」より「鴎外の味覚」
筆者が買った「もみじまん」の形状と近いわね。
鴎外が食べていたのは、おそらく良い饅頭だったに違いないが、今回筆者が用意した「もみじまん」はスーパーで¥100ぐらいで購入した小ぶりのもの。まぁ、ただ製造しているのがヤマザキパンのため、味は間違いないわ。
あ、後、ご飯を炊くのが面倒くさいため、パックご飯を使っている点はあしからず・・・
【森鴎外の好物】「饅頭茶漬け」を作ろう!【森茉莉/「記憶の繪」より】
さぁ、それでは、早速森鴎外の好物である「饅頭茶漬け」を作って行きましょ☆
まぁ、作るって言っても手順はとっても簡単。
まずは茶碗に白米をよそいます。
筆者は「饅頭茶漬け」をそんなに沢山食べられる自信がないため、ごくわずかの白米をよそったわ。
そして饅頭は4等の大きさにカット。
その饅頭を白米の上に、どーーーーーーーーーーーーーんっ!!!!
さらには煎茶をかけて、で☆き☆あ☆が☆り☆っ☆
んん〜ん、なんだかお茶のいい香りと甘い饅頭の香りがマッチして、意外にも美味しそうな匂いがただよっているわ。
さぁそれでは早速、いただいてみましょ!
【森鴎外の好物】「饅頭茶漬け」を作ろう!【森茉莉/「記憶の繪」より】
一応、何かあった時のために(?)箸休めとして梅干しを用意したわ。
それでは・・・・いただきます!!
ん・・・・?んんん〜〜〜ん・・・・
お味は・・・・まぁ、不味くはない。
日本には昔から餅米にあんこを纏わせた、”おはぎ”という定番スイーツがあるだけあり、米とあんこは合わなくはないのよ。
まぁ、鴎外のように好きな人は好きなお味かもしれないわね。
未熟な筆者は、鴎外の文学とともに味覚も理解できなかった模様・・・
まぁ、それでもなんだかんだ完食!ごちそうさまでした。
でもまぁ〜、筆者はもう今後作ることはないかな・・・
米と饅頭とお茶をそれぞれいただきたいわね。
まぁ、鴎外的味覚を持つ方は、きっと気にいること間違いなしなので、興味のある方は是非作ってみてはいかがかしら?
【饅頭茶漬け】森鴎外と茉莉さんのお墓参りに行こう!
ここからはちょっと余談になるけど、「饅頭茶漬け」で鴎外と茉莉さんに興味が出た方は、是非ふたりのお墓参りにも行ってみてはいかが?
鴎外と茉莉さんは、東京都三鷹市にある「禅林寺」に眠っているわ。
お寺の入口を入ると、鴎外の遺言碑がお出迎え。
お墓には鴎外の本名”森林太郎”の名前が記されているわ。
茉莉さんは左端のお墓に眠っているわ。
ちなみに、鴎外のお墓の目の前には、太宰治のお墓もありますよ〜!
是非あわせてお墓参りしてくださいネ!
禅林寺の場所
〒181-0013 東京都三鷹市下連雀4丁目18−20
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